玉三郎は1984年ニューヨーク・メトロポリタンオペラハウス創立百年記念ガラ公演で<鷺娘>を演じた。その成功は伝説を生んだ。
1762年に江戸・市村座で初演された、古い女方舞踊の名作。
恋の妄執を演じている玉三郎は私達見ているものを夢幻のかなたへといざないます。白無垢の振袖に白の綿帽子をかぶった娘。花嫁衣裳姿で踊る姿は恋の恨みをこめているようで…でも美しい。
そして華やかな友禅模様の振袖を着た町娘へ…衣装の(引き抜き)早変えで何度か着替えながら踊る姿は楽しかった過去を回想しているかのよう。
終景は雪が激しく降りしきる中、白鷺の精となり舞う姿にうっとりとしてしまう妄想的な美しさ。恋に悩む乙女の風情が素直に伝わってくる。
これぞ玉三郎の美の世界♪